スキマダイアリ

インドネシアでさまようリーマン

のみ

戦場にて70名近くの猛者たちが怒涛の勢いで宴会に突入した。
乾杯コールがかかった瞬間老若男女一気にビールを飲み干し、
あとは敵味方入り乱れひたすら日本酒とビールが飛び交う。

   “乾杯っ”
   ビールを瓶ごと飲み干した。
   「餓ッ」
   たまらず叫んだ。

 嬌声と一気コール、ビールと叫喚、何よりむせ返る程の日本酒の香り。
 それらが渾然一体となり、また新たな闘争を紡ぐ決戦の地――河原町は「トイチ」である。

 京都と愛知と、そして飲み屋のオヤジが相撃つ魔戦場は
今将に終局を迎えようとしていた。

「ビールタリナイヨ」「ソレノンデノンデ」
理解しがたい異国の勝鬨の声を挙げつつ巨魁が進軍する。
敏腕ゲロプロデューサーの呼び声高い浅野ゼミのFである。
愛知のゼミの可愛い子に勝手に「クリステル」の異名を付け、
俺も一緒に何度も果敢に攻め込むのだが、敢え無く撃退される。



熱々のおでんを口に運ぶことを強要されるムラカミュ

セクシーポーズでえび天を食べることを強要されるイダイダ

うつろな目でウコンの力を一気している路地裏


まさに地獄絵図であった。

一気コールが折り重なるように鳴り響く。 
 歯を噛みながら、ジョッキに注がれた日本酒を見つめていた。
 息をするのさえ、忘れてしまいそうであった。
 飲めるのか。
 そう思う。
 二合以上ある酒を、人が一気に飲めるのか。
 できるのか。
 やれるのか。
 やれるのだと、クリステルの笑みが言う。


酷く慌ただしい。 


踏み鳴らされる手拍子、汗とビールとおでんの匂い、
足下を充たすゲロ溜まり。 

  飲。
  飲。
  飲。
  飲。
  飲。

  一体、何リットル飲んだと思ってるんだ?
  何故――
  何故グラスを放さないんだ?
  早く――
  早く水を飲め。
  うるさい――
  うるさいだと?
  貴様らがうるさいなら、一気コールの真っ只中にいる
  自分が一番うるさいとわからないのか?
  聴覚はとうに無くなっている。
  肝臓は限界に達している。
  それでも――
  それでも飲むのだ。



他にも「クロスカウンター乾杯」連続乾杯30人抜き」「ビール二瓶一気後日本酒一合一気」「密着トイレ篭城20分」など県大会レベルとは思えないほどの実力の拮抗した飲みが見れた。


永遠かと思われた宴会の後は、友人のマンション前の駐車場でプチ宴会、その後部屋に場所を移してまた鬼殺し。
そしてグッスリ寝て、朝には解散。